ホテルを選ぶ際に、「5つ星ホテル」「4つ星ホテル」などホテルのスターレート(星の数で表される格付け)を気にされる方がいらっしゃいます。
しかし、そもそもの話として…
ホテルのスターレートには「世界的な統一基準がない」のをご存知ですか?
※記事前半はスターレートの説明なので、モルディブの現状だけ知りたい方は、記事中盤の“モルディブ=「3. ホテル自身が格付け」”から読んでみてくださいね。
※2018.06時点での情報です。今後、変更があるかもしれません。
目次
ホテルの格付けとは?
「5つ星ホテル」などとよく聞きますが、どのように格付けされているか?というと;
1. 各国・各地方の機関の格付け
2. 民間の第三者機関の格付け
3. ホテル自身の格付け
4. 旅行会社の格付け
5. ホテル比較サイト等の格付け
という大きく5つのパターンが存在します。
「1」は、「フランス政府観光局」「中国国家旅遊局」「ウェールズ観光局(英国)」など国や該当地方の機関が格付けをしているケースを指します。
「2」は、「ミシュラン(フランス)」「AAA(全米自動車協会)(米国)」「オートモービル・アソシエーション(英国)」など民間の団体等が格付けをしているケースを指します。
いずれの場合も、基準は各機関によって異なりますので、同一機関の評価は比較することができますが、異なる機関が発表した格付けを単純比較することはできません。例えば、同じホテルを評価していても、AAAとミシュランでは評価項目が異なるため、結果として格付けが一致しないこともあります。
「3」はホテルが自社基準で「ウチは五つ星ホテル」などと名乗るケースを指します。
良し悪しは別として、言わば“自称の格付け”です。
「4」「5」は、該当する会社が取り扱いホテルを独自の基準で格付けしているケースを指します。顧客の声等も考慮できるのが利点である一方、「格付け」と「人気ランキング」との混同が見られる(発表している側の混同と言うより、見る側が混同している)場合もあります。
参考にできる格付け
結論から言うと、見方さえ間違えなければ「1」「2」「4」「5」は参考とできるでしょう。
格付けを参考にホテル選びができるか?は、まず、ホテルが立地する国・地方によって判断することができます。
つまり、「1. 各国・各地方の機関が格付け」をしている国・地方には、国内あるいは地方で統一された基準があるということですので、同一国内・地方内にあるホテルを比べる参考にはなるでしょう。
また、「2. 民間の第三者機関が格付け」であっても、特定の国や地域を専門的に網羅している場合がありますので、そうの場合には「1」同等に参考になると考えられます。
次に、「2. 民間の第三者機関が格付け」については、「米国のホテルAは、前に泊まったことのあるフランスのホテルBと同じレベルの4つ星なのね」などの国をまたいて参考にすることができます。ただし、多くの国・地域の幅広いホテルを網羅している格付け機関は少ないので、比較できるホテルは限られる可能性もあります。
その点、「4. 旅行会社が格付け」「5. ホテル比較サイト等が格付け」は、「2」に比べて網羅するホテル数や国・地域が広い場合もあるのが利点と言えます。ただし、顧客や閲覧者の評価を反映している場合、その評価者の数が少ないと、少数の主観的な意見で評価が偏ってしまうこともあるので注意が必要です。
また、前述もしましたが、格付けをする機関によってチェック項目・重視項目が異なることは留意しましょう。
例えば、「ミシュラン」は施設の伝統文化等の背景も考慮して星の数が決まり(ミシュランには「多くのホテルを網羅する」志向はなく「良いホテルを紹介する」という意図で星付けを行なっているので、星の数が0でも掲載されただけで一定の価値がある…というような見方をします)、AAAは清潔さ、安全性、メンテナンスの状態、家具の種類、アメニティの数、サービスの質など、どちらかと言うとスペック重視の細かい審査基準からダイヤモンド(AAAは「星」の代わりに「ダイヤモンド」という言葉を使用)の数を決定しています。
よって、それぞれの格付けの構造と評価基準を理解し、違う機関の格付けを単純比較しない等の条件を守れば、「1」「2」「4」「5」は参考とできるでしょう。
[補足] 民間のホテル格付け・評価機関について前項で例示した「AAA」は設備の充実度等のチェック項目が多い分、比較的公平・客観的な格付けとして参考になります。 同じく例示した「ミシュラン」は、好みが別れるとは思いますが、ホテルやレストラン等の“キュレーター”だと考えると良いでしょう。キュレーターと自分の嗜好が似ている際には、これほど頼りになる格付けはありません。 また、格付けではありませんが、「ルレ・エ・シャトー」「ザ・リーディング・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド」のように、独自の評価基準をクリアしている世界中のホテルを紹介している組織が数多くあります。例えば、「大箱過ぎないブティックホテルが好き」なら、「スモール・ラグシュアリー・ホテル・オブ・ザ・ワールド」も素敵なホテルがたくさんコレクションされています。 これらの組織も「ミシュラン」のように、様々なホテルを独自の視点でキュレーションしてくれていますので、ホテル好きの方は、一度HP等を覗いてみると良いでしょう。 自分の好みに合う評価組織のに登録されているホテルなどを次々と訪れる旅というのも、楽しい贅沢だと思います。 |
注意が必要な格付け
最も注意が必要なのは「3. ホテル自身が格付け」です。
中には、きめ細やかな品質管理基準を設け、極めて公平で厳しい格付けをしている企業もありますが、あくまでも「自分の売り物」であるホテルに「自分自身で格付け」をしますので、ホテルの現状よりも「5つ星として売りたい」などのマーケティング的な要素が反映されてしまうケースも否めません。
何より、ホテル毎に違う基準で格付け評価がされているので、例えば同じ「5つ星ホテル」と格付けされていても、施設やサービス、その他ホテル品質の全般において、「同等のホテル」とは言えないケースも散見されます。
とは言え、あまり現実とかけ離れた格付けをしてしまうと、宿泊者からのクレームの原因となり、ホテル自体が損をしてしまうことになります。なので、
「ある程度は現実に沿っているけど、少し下駄を履かせている(少し良く格付けしてしまっている)こともある」
程度ですので、大まかな参考として見る分には問題ないでしょう。
スターレート以外の参考にできる基準は?
訪れる国・地方に「3. ホテル自身が格付け」しかない場合、下記を参考にすると良いでしょう。
宿泊費
結局のところ、
「価格が高いホテルの方が、少なくとも施設面では充実しているorなんらかの理由で人気がある」
という傾向があり、価格は施設やスタッフの充実度を測るには、何よりも参考になります。
言い換えると「(自主基準で)5つ星ホテルだけど、他と比べて格段に安い」等の場合、「お得だ!」と思って飛びつくのは危険… ということです。例えば、施設のメンテナンスも充分でなかったり、部屋が他の同等クラスホテルより狭めだったり、サービス面で劣っている点があったり、何らかの理由で相対的に不人気だったり等、安い価格には理由があるかもしれません。
もちろん、
「閑散期に大きな割引をしているだけで、何の問題もない」
「たまたま予約率が低く、直前予約割引をしている」
など、本当にお得なケースもありますので、そのようなホテルを予約する際には、
「何で安いんですか?何か劣っている点はありますか?」
と予約をする旅行会社に尋ねてみたり、ネット上の口コミを確認してみたり(…ただし、ネットの口コミは主観的過ぎてアテにならないことも多いので、少なくとも複数の口コミで同じことを言われているか?という視点を持つ必要はあります)等、慎重に決定することをオススメします。
宿泊費からホテルのランクを推測するのに便利なのが『トリバゴ
』と『TripAdvisor
(トリップアドバイザー))』。
行きたい国や地域をを選択し、ホテルを宿泊費順に並べ替えれば一発でランクが丸わかりです。
ただし、価格比較をする際には、付帯するサービス(特に食事プラン)に注意し、同条件で比較をしましょう。例えば、朝食だけが付いた宿泊費と3食込みの宿泊費を単純比較はできません。
※食事プランの種類については、「食事プランはどう選ぶ?」の記事に記載してありますので、ご参照ください。
また、ホテルのコンセプトの面白さなど、宿泊費では測ることのできない基準もあります。価格は、あくまで「格付けの代わり」として見てください。
旅行会社の格付け
上記「4」に記した旅行会社による格付けは、ある程度信頼しても良いと思います。
あまり変な格付けをしてしまうと顧客からクレームを受け兼ねませんので、少なくとも大手の旅行会社やその国・地域への専門性を売りにしている会社であれば、何らか理由のある格付けをするでしょう。
ただし、他の格付けと同様に「格付けの基準が何か?」は理解して参考にするようにした方が良いとは思います。
私自身、ロシア系の大手旅行会社のモルディブ内の取り扱い全リゾートホテルの格付けを担当したことがありますが、1) ホテル自身の規定している格付け、2) 施設の充実度、3)オペレーションの品質(顧客対応やスタッフ数など)、4) 競合他社による格付けを主な評価項目としました。
なので、例えば顧客評価を重視して格付け(どちらかと言うと人気ランキング)をしている会社の格付けとは差が出たホテルもあり、「評価基準を知ることは大切」と改めて感じました。
ホテル比較サイト等のランキング
上記「5」に記したメディアの格付けもある程度信頼できます。
ただし、日本語で見れるサイトは、知っている限り全て人気ランキングですので、プロの機関が独自基準に基づき行う「格付け」とは若干異なります。
例えば、サイト利用者からの評価数が少ないホテルに関しては、公平な評価がなされていないこともあります。また、評価数の過多が、実際の人気(ホテルの予約率)と比例していないことがあるのも気になります。
なので、このようなサイトに関しては、格付け(ランキング)の高低以上に口コミが参考になる!と覚えておいてください。
口コミを見る際には;
- 1人が「○○が最悪」と言っていても、「たまたま」だったり、偏った評価だったりすることもありますので、重要な点は複数の口コミを確認する。
- 日付が古い評価に関しては、現状を反映していないこともあるので、できるだけ直近の日付の口コミを参考にする。
という点に気をつけてください。
モルディブのスターレート&ホテルの選び方
モルディブ=「3. ホテル自身の格付け」
残念ながら、現在(2018.06)のところ、モルディブには国や民間の格付け機関が存在しません。よって、「3. ホテルが自社基準で格付け」をしているのが現状です。
つまり、スターレート(星の数)は、あくまでも自称。
例えば、同じ5つ星ホテルでも、レストランの数やメンテナンスのレベルなど、特に設備面では差があることも。
また、稀にではありますが、「自社基準が厳しいホテルAは『4つ星+』の格付けをしているが、評価基準の違う『5つ星』のホテルBより設備やサービスの充実度が上&宿泊費も高め」なんてこともあり得ます。
そのような状況はホテル側にとっても大きな悩みであり、
「あのホテルが『5つ星』なら、ウチは『6つ星』!」
「あの『4つ星』ホテルと同等扱いは微妙…ウチは『4つ星+』ね」
等々の動きもあったこと結果として、現在(2018.04)は;
5つ星デラックス(5つ星+、6つ星):超高級
5つ星:高級
4つ星+:中級(上)
4つ星:中級
3つ星:エコノミー(上)
2つ星:エコノミー(中)
1つ星:エコノミー(下)
というのが、モルディブでは一般的な基準となっています。
リゾートホテルは「3つ星」以上(と言っても、3つ星は極少数で、「4つ星」以上がほとんど)で、“高級リゾートの国”という地域特性から、「4つ星」から「5つ星デラックス」のホテル数が多くなるため、その範囲のスターレートが細分化されています。
『3つ星』以下はホテルやゲストハウスが多くなりますが、「4つ星」を名乗る一部の高級ホテルを除いて、積極的に自社から格付けを発信しないホテルやゲストハウスも目立ちます。
ホテル選びは格付け以外も参考に
上記のような現状ですので、格付け以外の基準も参考にして、モルディブのホテル選びをしてみてください。
旅行会社の格付けに関しては、モルディブのホテルの格付けを実施している日系の旅行会社さんもあります。気になる方はHPで確認してみたり、問い合わせたりしてみてください。
ホテル比較サイトに関しては、今の所は『TripAdvisor(トリップアドバイザー)』が使いやすいでしょう。宿泊費に関しても併せて確認できるので、とても便利です。
格付けよりもホテルの「個性」が重要
モルディブのリゾートホテルに限定して言うなら、基本的にどこも質が高めです。
島嶼国(大小の島で構成されている国)であるモルディブは、街や他のリゾートから隔絶された「1島1リゾート」という恵まれた環境(そうではないリゾートもあります)の恩恵から、「そのホテルならでは」のコンセプトが光るホテルが多くあります。
1つの島に1つリゾートしかない贅沢な環境は、何にも邪魔されず、自分たちが作り上げたい雰囲気、サービス、そして、世界観を十分に演出することを可能にします。この星の数ほど光る個性こそが、モルディブのリゾート最大の魅力です。
また、島や地域により、体験できる自然環境が大きく異なることも、1つ1つのリゾートの個性に彩りを与える大切な要素です。
リゾートのコンセプトも自然環境の違いも、「良し悪し」ではなく「好み」の要素。
格付けには反映しづらい要素ですが、旅の満足度を左右する大切なポイントです。
格付けは「ふーん、そうなんだ」程度の参考として、予算等の条件に合い、且つ、心惹かれる個性を感じたリゾートを選んで欲しいな…と、個人的には思います。
以上がホテルの格付けになりますが、割と深い世界なんですよね。知れば知るほど面白いです。
いずれにせよ、インターネットの普及で、格付けに頼らなくてもたくさんの情報が取れるようになりました。こだわってホテルを選びたい方は、格付けは参考の1つ程度と捉え、宿泊費から口コミまで様々な情報を探索してみるのも楽しいでしょう。
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