LINEで送る
Pocket

日経新聞の連載”消費変貌”、ご覧になりましたか?

3/12の第1回記事では;

異彩を放つのが「通信費」だ。17年は月額1万3271円と93年比で約2倍。スマホの普及が背景とされるが、通話やメールなど本来の通信費は実は、家計調査のようには伸びていない。実際ドコモの場合、加入者1人あたり通信料は4430円と00年から半減した。家計調査の「通信費」を膨らませているのは、実はモノやサービスの購入なのだ。商品やサービスの対価がリアルの小売市場を飛ばし、スマホを介して直接メーカー側に支払われる。例えば服を「ケータイ払い」した場合、家計調査では「被服」ではなく「通信費」に紛れる例が増えている。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2798671012032018MM8000/)

ということが書かれています。

家計調査の盲点について書かれていて興味深かったですし、何となく「通信費が増えている」と思い込んでいる人などには衝撃だったのではないでしょうか。

3/13の第2回記事では;

 ワンショットファッション――。アパレル業界ではこんな言葉がささやかれる。交流サイト(SNS)に投稿するために一度だけ着用し、すぐに洋服を手放す若者も目立つ。伊藤忠ファッションシステム(東京・港)で世代文化を研究する中村ゆいは「所有への執着は少なく、売ることを前提とした買い物が定着してきた」と分析する。

消費者が消費者と直接取引する「CtoC」が消費のカタチを変える。スマートフォン(スマホ)によってネットでの売買が容易になり、誰もが消費者でありながら販売者にもなる。

商品の残存価格はネットで瞬時に決まり、購入時と販売時の差額が実質的な価格となる。複数の人が所有と転売を繰り返すリレー消費は新しい形の共同購入だ。CtoCの国内市場は2017年に8千億円規模に拡大したとみられる。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28034900T10C18A3MM8000/)

メルカリなどフリマアプリが市場の構造を変えていることやシェアリングエコノミーで車からスキルまで、何でも共有する流れになっていることが、非常にわかりやすく書かれていました。

さらに、最後のまとめが「まさにその通り!」と思いました。

所有からシェアへ。消費の「量」は減るかもしれないが消費者の質や豊かさは高まる。1人あたりの金銭的な負担は減り、新品や高額品にも手が届きやすくなる。その分、企業はブランドイメージなど自社の商品の付加価値をどれだけ高められるかが勝負になる。安さを競うだけでは生き残れない。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28034900T10C18A3MM8000/)

流通している商品点数は減っても、使用者が減るワケではない」というのは、流通にとって大きな変革ですよね。

3/14の第3回は、個人的に目を引く点がなかったのですが、気になる方はコチラ↓。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28059630T10C18A3MM8000/
ざっくり言うと「働く女性が増え、その消費が元気ですよー」ということでした(ざっくり言い過ぎか)。

そして、3/15の第4回記事は;

消費を楽しむシニアと慎重な若者。17年の2人以上勤労世帯の支出額は50代が前年比1.3%増、60代が5.9%増に対し、30代は前年より減った。

高齢化が進んでも消費は縮まない。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28169250V10C18A3MM8000/)

と締めくくられています。

「消費が縮まない」のは「しばらくは」ってことであって、おそらく「30代は前年より減った」とわざわざ書いているの意図=「シニアが市場から去った将来には縮むかも」という暗示?と、私は読みました。

この第4回記事には、”終活消費”の話も出ており、第2回の記事と併せ読むと「物を増やさない」が世代に関係なく主流になりつつある考え方だということがわかります。

「所有に固執しない」というのは、社会が本当に豊かに成熟してきたことの一面とも言えるかもしれません。

メルカリを使う人も、終活消費をするシニアも、お金がないわけではありません。
メルカリを使ってみんながしていることは、あくまでもスマートショッピング。「当たり前の賢い消費」として定着しつつあります。

“ユニクロ対ZARA”という本で有名な齊藤孝浩さんは、こんなことをおっしゃっています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ユニクロ対ZARA [ 齊藤孝浩 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2018/3/20時点)

※この本↑もだいぶ面白いです。

服の購入は 70%はリアル店舗で購入するが、20%はECで買い、10%は中古マーケットやレンタルを利用する

なんて世界はそう遠くない未来に起こりそうです。

いやいや、若い方々や新しいものをすぐに取り入れる方々はもうすでにそれ以上にECやフリマ経由が多いかも。

ファッション専門店の経営者の方々はそれでもリアル店舗だけにこだわりますか?

フリマアプリを敵視し、それを使っている方々の消費を見聞きして、最近の○○は消費意欲がない!と言いますか?

それはお金がないのではなく、むしろお金を有効に使う、賢い消費者(スマートショッピング)なんではないんですか?
(出典:http://dwks.cocolog-nifty.com/fashion_column/2018/03/post-774c.html)

これはとても重要な視点ですよね。

再販売や共有を前提とした商品作り
そうしてもらいやすいモノを作ったり、そうされやすいようにブランド価値を高めたり、或いは、そのためのプラットフォームを提供したり、できることがたくさんあるかもしれません。

若者もシニアも、体験や感情への消費、そして、特に若者はSNSなどを通じてそれを共有することが生活の一部になっていることもキーですよね。スマートショッピングという金銭面のメリットだけが、共有等の背景ではないことも、忘れてはいけないポイントです。

パラダイムシフトをチャンスと捉え、消費者の心理から離れることなく、市場を作っていきたいですね。