LINEで送る
Pocket

世界一のマーケティング企業と呼ばれる米日用品王手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が「デジタル広告は無駄」と言い切り、その2017年の広告費の内、2億ドル(約210億円)以上を削減したそうです。
http://jp.wsj.com/articles/SB10677789349905104721204584075733211467254

皆さん、この件についてどう思いますか?
「自社もネット広告を減らすぞ!」と思いました(思っています)か?

コレはなかなか難しい課題ではありますが、少なくとも、P&G社の決定を参考にできる企業って、日本にいくつあるのでしょう?

主に複数のデジタル大手向けの広告費を20−50%程度削減した結果が210億円以上と言うのですから、同社の広告費の大きさに改めて溜息が出ます。同社のブランドや商品数が多いこともありますが、見方を変えると同社は「少なく見積もって500億前後をインターネット広告に投下し続ける」ってことですよね。

記事内にも書いてありますが「フェイスブックなどのプラットフォームに流れる同社の広告頻度が高過ぎた」ようですが、そこまでの広告力を持つ企業は限られていますよね。

なので、あくまでもP&G社は「やりすぎ」ていたのかもしれませんし、ネット広告に関わる不正行為や同社のブランディング上で不適切な表示のされ方などへは意見があるようですが、インターネット広告を真っ向から否定しているわけではなく、ただ「TVなど旧来のマス広告の延長線上でのネット広告戦略からは本格的に脱却しますよ」ということなのだと思います。

自社メディアにしてもSNSにしても、消費者の顔が見えやすくなり、地引網的に量で勝負する広告のあり方が揺らいできて久しいですが、それでもまだ、認知としての価値は大きいですし、消費者調査などで「TV広告で見る企業だから安心」的な声を目にすることは未だに多いです。

ただし、電車の中でもスマホ、家でもスマホ、誰かと食事をしていてもスマホ、、、というのが当たり前の昨今では、そのスマホ時間にどう自社が絡むか?も、とても大切になってきていますよね。

その際に、大切なのは「絡み方」。
見る側が気にかけない広告をいくらSNS上に投下しても瞬時にスルーされるだけですし(まさに上記のP&G社の例ですよね)、ましてや、見る側の気分やモードを邪魔する広告を押し付ければ嫌われます。見る側の・その時の気持ちにスルッと入る広告=効果のある広告になるわけです。

それには、対象者が当該サイトを見ている時の気分を把握し、訴求していくことが必要で、「PRの知恵を活かした広告」というのが求められているように思います。

PRは、マス広告よりも限られたターゲットに、深いメッセージを伝えるのを得意としてきた分野だと思います。それが企業によっては、雑誌編集の担当者をいかに自社贔屓にするか?的な非常に狭義の活動になっていた例もあるでしょうが、より正確に相手の顔を見てアプローチすると言う点では、知恵や経験ががあるケースも多いように感じます。

「デジタル広告は無駄」というのは刺激的な言葉で、記事の見出しとしては興味を引きますが、企業と消費者を取り巻く環境の一面だけを切り取った言葉。

デジタルを味方につけて、消費者とより良いリレーションを結べる広告を作っていきたいものですね。