日本ではあまり馴染みのない「モルディブ料理」。
魚やココナッツ、スパイスを使ったメニューが多く、モルディブ料理を食べることも、モルディブの地理や風土、文化を感じさせてくれる貴重な体験かもしれません。
マーレを含めたローカル島(住民島)はもちろんのこと、リゾートでも食べるチャンスに恵まれることが多いと思いますので、ご紹介しておきますね。
モルディブ料理の成り立ち・特徴
海に囲まれたインド洋の楽園「モルディブ」。
ポルトガルやイギリスの植民地として一時期を過ごし、インドの南西/スリランカの西に位置する海洋交通の要衝として発展してきた歴史から、西洋の影響も少し受けつつも、その文化は主にインドやアラブの影響を色濃く感じさせます。
そして、料理に関しては、極めてインド/スリランカ的。
モルディブでは、スパイスをふんだんに使用したカレーやサモサ風の揚げ物などが美味しくいただけます。
具材は魚やココナッツを使用するメニューが多く、まさに「赤道直下の海洋国」を感じさせてくれます。
また、現在のように交通手段が発達していない時代には、料理素材の調達が難しく、また天候次第では島から出られない事態も多発していたことから、保存食やシンプルな材料で作れる料理もたくさんあります。
代表的なモルディブ料理
リゾートでも食べられることが多い代表的な料理を中心にご紹介しますね。
ビュッフェにさりげなく並んでますので、食べ逃さないように!
1. ロシ
ロシは、インドのチャパティのような主食メニューですが、チャパティよりも薄くソフトで、小麦粉の甘みを感じられるのがモルディブの「ロシ」。
リゾートや街中のカフェによっては、モルディブ人が監修しておらず、少し厚め・硬め・パサパサのロシが出てきてしまうこともありますが、本物のロシは、しっとり繊細で、とても美味しいです。
小さくちぎってカレーに混ぜたり、ツナ缶(モルディブ産のツナ缶の油を切って、ライムをキュッ!と絞ると美味しい)やマスフニ(2)、クリマス(3)と一緒に食べるのが現地流の食べ方。
でも、あまりこだわらず(…というか、カレーに混ぜるのが個人的には好きじゃない…グッチャグチャになってしまうので)、好きなものと一緒に食べれば良いと思います。
私は、リゾートのビュッフェで柔らかい美味しいロシに出会った時には、前菜のハムやサーモン、マスフニ、サラダ、オリーブ、ナッツ類などをたっぷり持ってきて、くるくるっとラップサンドにして食べます。
美味しくて、止まらなくなりますよー。
バリエーションの1つとして、削ったココナッツを生地にまぜ、厚めに焼いた「ディスクロシ」というものがあります。
こちらはココナッツの甘みが噛むほどに出てくる美味しいロシで、普通のロシと同じく、マスフニ等と一緒に食べます。
2. マスフニ
日本人を含め、外国人も「大好き!」と言う人が多いモルディブの朝食の定番です。
実はお酒のつまみにも最高!なのですが、なぜか朝食でしか食べません…日本のお雑煮みたいなものですかね?(マスフニは朝だけ、お雑煮もお正月だけ。どちらも美味しいのに、私にとっては大きな謎です。)
カツオの旨味とココナッツの甘み、ピリッとしたチリの辛み、ライムの爽やかな酸味が一体となった、何とも美味しい一品。
モルディブから帰った後に、「マスフニ」食べたいと言ってくる日本の友人も多いんですよね。
マスフニは種類が豊富ですが、代表的なもの( プレーン)の材料&レシピは、
- カツオのツナ缶(または、細かく切ったなまり節)
- 削ったココナッツの実
- 玉ねぎのみじん切り
- 唐辛子のみじん切り
- たっぷりのライム果汁
- 塩少々
を、よく揉み込みながら混ぜるだけ。超簡単です。
味を一体化させるために、とにかく「よーーーく混ぜる!」。それだけは守りましょう。
分量も簡単で、ツナとココナッツは同量、玉ねぎとライム(青レモンも可)はその半量、唐辛子と塩はお好みで加減します。
ココナッツは、製菓用のドライココナッツではなく、生ココナッツが美味しいです。
モルディブのスーパーや魚屋さんで、冷凍の削りココナッツを売っていることがあるので、見つけた方&保冷バッグを持っている方は買ってみても良いかも。
現地の人は、ロシ(1)で1口ずつ摘みながら食べますが、私は白米に乗せたり、サンドイッチにしたり、サラダの具としてもいただきます。ご飯にたっぷりマスフニ…かなり美味しいです。
バリエーションとしては、現地で手に入るカレーリーフという薬味の葉やコピーファイという葉物野菜、かぼちゃを混ぜたものなどが代表的です。
邪道ですが、私はパクチーのみじん切りを混ぜて作ります。美味しいですよ。
3. クリマス
クリマス(字で書くとクリスマスみたい…笑)ですが、こちらも朝食の定番。魚のドライカレーです。
「クリ」は「辛い」、「マス」は「魚」の意味で、その名の通り、かなりスパイシー。
日本人にとって、朝から激辛ドライカレーを食べるのは微妙かもしれませんが、ロシと一緒に食べると美味しくてクセになります。
週一程度の頻度で、モルディブ料理のビュッフェをディナーで提供するリゾートも多いですが、大抵は「クリマス」も並んでいます。
スパイシーなので、ビールに合いますよ!
4. ガルディア
モルディブ風のカツオのすまし汁。
伝統的な作り方では、カツオを骨から内臓まで全て使い、あとは塩と水とハーブ類だけというシンプルな材料で作られます。
灰汁を丁寧に取りながら、じっくりと出汁を取りますので、非常に旨味がある透明なスープです。
(…最近は、そこまでして出汁を取らず、味の素で調味しているガルディアも多いですけどね。)
このスープをちぎったロシ(1)や白米、手でつぶしたヤムイモなどにかけていただくのですが、現地の人は、手で揉み込むようにしてよく混ぜます。
なので、「お茶漬け」のような感じはなく、「リゾット」や「雑炊」のように、出汁の効いたスープをしっかり吸い込んだご飯等をいただく感じです。
また、ガルディアには、刻んだ生唐辛子、揚げ唐辛子、玉ねぎスライス、ココナッツスライス、揚げ魚、その他モルディブ風のふりかけなどが一緒に供されます。
食べる人が、自分の好みに合わせて、それらのものを混ぜて食べる!というのがガルディアの特徴の1つで、とても楽しく、飽きがきません。
リゾートでも食べられることが多いので、ぜひ試していただきたい代表的なモルディブ料理です。
5. リハ
「リハ」は「カレー」の意味。
「マスリハ」なら「魚カレー」、「ククルリハ」なら「チキンカレー」のことで、ココナッツミルクたっぷりの辛くてミルキーなカレーです。
とろみが少なくさらっとした見た目ですが、ココナッツミルクを使っているので濃厚で、やみつきになる人も。
白米や、細かくちぎったロシ(1)、茹でたヤムイモなどと混ぜて食べます。
ご飯は「バシマティライス」と呼ばれる長米がレストランでは一般的。
日本のお米のようなモッチリ感は皆無のパラパラとしたお米で、独特の香ばしい風味がありますし、とろみの少ないサラサラとしたカレーに、パラパラで香りの良いバシマティを一緒に食べると「あぁ、外国!」という気分になれますよ。
実は、リハには統一した味がなく、レストランなどによってだいぶ違ってくる一品。
美味しいお店のものはココナッツミルクの風味が活きていて、スパイシーですがコクがあり、とても後を引く美味しさです。
辛いのが苦手な方には、「ムグリハ」というレンズ豆のカレーが比較的食べやすいかもしれません(全く辛くないわけではありませんが)。
6. ヘディカ
モルディブのフィンガーフード。
指でつまんで、2〜3口程度で食べられる小さなモノが大半です。
オヤツに、お茶のお供に、オフィスでの休憩時間に、夕飯の片隅に、いつでもモルディブ人の身近にある気軽で美味しい軽食。どれもスパイスが効いていて、おつまみとして最高!です。
種類が豊富で、、、いくつあるのでしょう?
数えたことがないのでわかりませんが、見た目によって1つ1つ違う名前が付けられていて、見た目から中身と味も判断することができます。揚げ物が多めですね。
例としては;
- 三角「バジヤ」。具はカツオや玉ねぎなど。シナモンの甘い香りとスパイスの風味・辛味が美味しい。
- 四角「ビスキーミヤ」。具はゆで卵のみじん切り、キャベツ、玉ねぎなど。胡椒が効いていて美味。唐辛子が入って辛いモノもあります。
- 円盤「マスロシ」。マスフニ(2)をロシ(1)の生地で包んで焼いたもの。
- ボール型「グラ」。具はカツオや玉ねぎなど。小さいものは米粉の生地に包まれていてガリッと(カリッてはなく、もっと硬い…)した食感で、少し大きめのものは小麦粉の生地なのであまり硬くないです。辛いことが多いですね。
- 餃子型「?(名前を知らない…)」。具はカツオやじゃがいもなど。「辛いジャーマンポテトの揚げ餃子」のような感じで美味。
- 立方体「ボーキバー」。具はなまり節、米、ココナッツ、玉ねぎなどたくさん。かなり辛いことが多いですが、カツオとココナッツの旨味があり、もっちりとしていて満腹感も高いです。
という感じで、目の前にあると全部試したくなります。甘いヘディカもたくさんあります。
どれも基本的には「カレー味」または「かなり甘い砂糖味」が多いのですが、それでも1つ1つ味が違うのが食べていて面白いです。
リゾートでも、ビュッフェの片隅に置かれていたり、モルディブ料理ビュッフェの日には、たくさんの種類が並ぶこともあります。
7. リハクル
ガルディアを煮詰めて作った万能ペースト。
塩っぱいのですが、カツオの旨味がギュッとつまっています。ただし、かなり魚くさいので、人によっては「匂いが苦手…」とも言いますね。
そのままロシ(1)につけたり、野菜や青いマンゴーにつけたり、ご飯と混ぜて食べるのも美味しいですが、チャーハンや炒め物に少し入れると、旨味と塩味が効いて、食が進みます。
少々の油を入れた小鍋で唐辛子や削ったなまり節(日本の鰹節でもOK)、ハーブ類などを炒め、そこにリハクルを入れ混ぜ、フツフツとしたら火を止めると「テルリリハクル(「炒めたリハクル」という意味)」になり、さらに美味しくいただけます。
リゾートでは、モルディブ料理ビュッフェの時などに稀に見かける程度ですが、マーレを含むローカル島(住民島)では、スーパーマーケットなど、身近なお店で手に入ります。
8. カナマドゥケーキ
「カナマドゥ」は「モモタマナ」という木の種子…と言われても、呪文みたいで、よくわかりませんよね。笑
「カナマドゥ」は、英語で「トロピカルアーモンド」または「インディアンアーモンド」と呼ばれ、名前の通り、インド周辺の熱帯アジア地区原産のナッツです。
味は、アーモンドと言うか…上手く形容できないのですが、個人的にはアーモンドよりも好みです。
強いて言うなら、「アーモンドを少しカシューナッツ寄りにした感じ」? でしょうか??
アーモンドよりも少し甘みが多いように思います。
このカナマドゥを使ったデザートが、モルディブにはいくつかあります。
中でも「カナマドゥケーキ」は、リゾートでも時折見ることがありますし、街中のレストランでも提供しているお店があります。
カナマドゥをたっぷり使っている場合には、風味が濃厚で美味しいですよ。
かなり甘いので、小さなカナマドゥケーキを、ストレートの紅茶と一緒にいただくのがオススメです。
全ては紹介しきれませんが、旅行でいらした方でも触れる機会があり、且つ、日本の方にも好まれそうなメニューを選んでみました。
「カナマドゥケーキよりも、ボンディだろ!」
などなど、諸々のツッコミもあるでしょうが、、、まぁ、私の個人的なセレクトということで。笑
※ボンディ:アッドゥ地方の伝統菓子。削りココナッツと砂糖でできれいるものや、ヤムイモ(?)を混ぜ込んだピンク色のものなどのバリエーションがあり、いずれも細長く伸ばして葉で包んであります。硬いし、目が覚めるほど甘いですが、薄くスライスして、ストレートの紅茶といただくと美味しいです。強烈な甘さと包み葉(バナナの葉?)で香りが好き嫌いが分かれますが、個人的には大好きです。
旅の思い出に、ぜひ試してみてくださいね!
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